イールドカーブ(1)

経済ニュースなどで度々耳にする「イールドカーブ」という言葉は、主に経済の見通しなどを予測するときに使われます。景気を予測する先行指数とされ頻繁に使われている言葉ですが、一般の方にはなかなか理解されていないのが現状です。

イールドカーブとは

イールドカーブとは利回り曲線とも言われ、債券投資の際に重要視されています。カーブの傾きが将来の金利の見方や経済見通しを示すので、投資環境を表す指標として取り上げられることが多いのです。
イールドカーブの「イールド」とは利回りの意味で、単純に言えば債券における年間の投資リターンです。残存期間の違う同等債券(同一債券)を比較する際に用いられ、横軸に残存期間、縦軸に債券の利回りをとっています。それぞれの債券を点で表し、一本の曲線にしグラフ化したものがイールドカーブです。
主に国債などの、信用度が高く、短期から長期まである債券を比較する際に用いられ、その形状をもとに景気や経済を予測していきます。

イールドカーブの形状

イールドカーブには主に3つの形状があります。順イールド、フラット、逆イールドです。
それぞれの形状に、将来の経済や金利への期待が反映されます。

順イールドカーブ


- ファイナンシャルスター 知識・ノウハウ(債券) イールドカーブについての分かりやすくて詳しい説明  2021年4月20日

順イールドカーブは、期間が長くなるほど利回りが高くなる(右肩上がり)曲線です。つまり、「順イールドカーブ」は短期金利より長期金利の方が高い状態です。通常のイールドカーブはこの右肩上がり曲線です。

一般に、債券の残存期間が長ければ不確実性が高くなりリスクが大きくなる(遠い未来のことなど誰にもわかりません)ので、その報酬としてリターンが大きくなることが期待されます。また、将来物価が上昇して金利の上昇が期待される場合や、経済が成長する景気拡大期にも順イールドとなります。

フラットイールドカーブ


- ファイナンシャルスター 知識・ノウハウ(債券) イールドカーブについての分かりやすくて詳しい説明  2021年4月20日

フラットなイールドカーブは、景気減速や低迷、低インフレの時期などに見られます。
この現象は、急激な経済成長を抑えるために金利を引上げる、つまり、短期金利が上昇する、その結果、インフレ期待が収まるため長期金利が低下する。すると、超短金利差が縮まりフラットな形状になります。

逆イールドカーブ


- ファイナンシャルスター 知識・ノウハウ(債券) イールドカーブについての分かりやすくて詳しい説明  2021年4月20日

米国景気後退局面と逆イールドの関係

逆イールドカーブは、景気悪化・株価下落のシグナルとして注目されています。
長短金利の逆転で、長期債の利回りが短期債よりも低くなり、右肩下がりの曲線となります。
この形は頻繁には見られないものの、米国債では過去およそ40年間で6回逆イールドが発生しています。一般に逆イールドは、物価と金利が下降している景気後退時や、金融引き締め時、将来的に金利が低下することが期待されるときに見られます。


セントルイス連邦準備銀行の経済統計データ(Federal Reserve Economic Data | FRED | St. Louis Fed)

10年債利回り – 3ヶ月債利回りの金利差(10-Year Treasury Constant Maturity Minus 3-Month Treasury Constant Maturity)
期間:1982-01-04 to  2021-04-20
1978年1月から1981年12月までのデータは、表示されておりません。