HFT(High Frequency Trades=高頻度取引)とは(5)

HFTのデメリット

続いて、HFTのデメリットとして挙げられている点についてお話しします。
デメリットとしてよく言われる点は、「相場の急変を招くことがある」、「超高速取引業者(HFT)が、投資家の注文を先回りしているという懸念」という二点です。

市場の安定性への懸念:相場の急変を招くことがある

先ほどのメリットとして挙げた「相場全体の値動きを抑制する」と矛盾しているようですが、反面、相場の急変を招くという点はHFTのデメリットとしてよく指摘されています。
HFTがプログラミングによって高速取引を行っているということは、「HFTとは(1)」で説明したとおりです。
そのプログラミングが不具合を起こした際、他のHFTを巻き込んで売りの連鎖が発生してしまうということが、まれに見られます。
そのようなことが起きると、相場の急変を引き起こすことになるため、HFTのデメリットとして挙げられることがあります。

市場の公共性への懸念:超高速取引業者(HFT)が、投資家の注文を先回りしているという懸念

また、近年では投資家の注文を先回りしているという懸念があることも、デメリットとしていわれています。
HFTは超高速で取引を行うため、ほかの投資家の注文を察知してその注文が来る前に取引を行うことが可能といわれています。

例えば、投資家の買い注文を察知した場合、HFTが先回りして購入を行い、その投資家の買い注文にぶつけることで利ざやを稼ぐことが可能になるということです。
そうした取引が行われた場合、買い注文を入れた投資家はHFTの行動によって少し割高な価格で購入せざるを得なくなるということになります。
こうした行動が問題視されており、HFTのデメリットとして認識されるようになりました。

ここまできた「超高速」株取引の威力 「HFT」は善か悪か? マーケット速報  松崎 泰弘 2016/01/28 17:15
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