「恐怖指数」VIX指数とは(2)

VIX指数の値動きの特徴

過去にVIX指数が大きく上昇した例をみてみましょう。

※リーマンショックやコロナショックではVIX指数が80を超えました。

– 三井住友DSアセットマネジメント 大きな変動局面を乗り越えてきた米国株式市場 VIXピークの3か月後、6か月後にはおおむね落ち着き始めた 2020年3月24日

相場が下落し相場の変動性が高まるとVIX指数は高くなります。
2008年10月リーマン・ショックで相場が急落した局面では、VIX指数は89.53まで上昇しました。
これはVIX指数の過去最高値になります。
その後50を割るまでに1~2か月程度かかり、完全に落ち着くまでに1年以上の時間を要しました。
2020年3月の新型コロナショックの相場下落局面ではVIX指数は85.47とリーマンショックとほぼ同じ水準まで上昇しました。
2021年3月中旬以降は、20前後で推移しています。

– Google Finance

1990年以降、VIX指数が40を超えたのは今回が8回目
■米国株式市場は、過去にも大きな変動局面を経験しています。変動が大きくなる背景には投資家の心理のブレ、恐怖心も要素として指摘できます。こうした投資家心理のブレを示す指標の1つとしてVIX指数があります。下図に示すように、投資家心理が落ち着いているときは20以下で推移することが多いのですが、市場が不安定化すると大きく上昇します。今回のコロナ・ショックでは82.69とリーマン・ショックを超える数値となりました。ここでは40を超えた局面をチェックしましたが、過去7回ありました。

■過去7回のVIX指数40超の局面では、その後の株式リターンは3か月後で約3%程度、6か月後で約8%程度とおおむね落ち着きました。今回、VIX指数は3月16日にリーマン・ショックで記録した80.86を上回り、1990年以降で最高の82.69を記録したことから、過去と同様の時間軸で落ち着きを取り戻すと期待するのは難しいかもしれません。参考となるのは、VIX指数が80を超えたリーマン・ショック時しかありませんが、金融システムが大きく毀損する中でも徐々に落ち着きを取り戻しました。今回はリーマン・ショックとは異なり、ウイルスが原因であり、企業などの経済活動への影響が大きいのが特徴です。金融政策は企業の信用力をサポートすることが可能で、財政政策は各国・地域の協調を伴いながら、世界景気を浮揚させることが可能です。時間はかかるかもしれませんが、市場が最悪期を脱することは可能と考えられます。

– 三井住友DSアセットマネジメント 大きな変動局面を乗り越えてきた米国株式市場 VIXピークの3か月後、6か月後にはおおむね落ち着き始めた 2020年3月24日

リーマン・ショックのときのような金融関連、および、影響を受ける業種の株価急落とは異なり、世の中の広い業種にわたって、かつ、世界経済へ大きな影響を生じさせているコロナ・ショックから、人類は完全に復活できていません。現在は、昨年のパニックは少し落ち着いたかもしれませんが、割高なバリュエーション、景気回復のペースの不透明さ、新型コロナウイルスワクチン接種の進展状況など、多くの懸念材料が、存在していると評価されています。

日本のVIX指数は?

日本にも同じような「恐怖指数」があります。日本では「日経平均ボラティリティ・インデックス(日経平均VI)」と呼ばれています。
大阪取引所に上場する日経平均先物と日経平均オプションの価格をもとに日本経済新聞社がリアルタイムで算出・公表しています。

日経平均の値動きが先行き荒くなるとみる投資家が増えると日経平均VIは上昇し、反対に膠着相場が 続くとみられると低下します。「VIX指数」と同じです。
通常は20~30程度のレンジ内で上下していて、日経平均株価が下落する局面で日経平均VIが上昇していることが分かります。
30が一つの目安とされており、30を上回る状況が続くと相場急落を意識している投資家が多いと言われています。

過去の事例では、
2008年のリーマン・ショックによる相場下落時は日経平均VIは92、
2011年の東日本大震災の直後には70に迫る水準まで上昇しました。
2020年の新型コロナショックで相場が急落したときも日経平均VIは46でした。
(コロナ・ショックは、やはり、日本にとっては、欧米ほどのパニックにはなっていなかった、ということでしょうか)

日経平均VI長期チャート

– 投資の森 日経平均VI(日経VI)(4/1 15:20)

タイトルとURLをコピーしました