悪魔の弁護人(代弁者) - Devil’s Advocate

悪魔の弁護人(代弁者) - Devil’s Advocate

悪魔の弁護人(代弁者)(英語: devil’s advocate、ラテン語: advocatus diaboli)とは、ディベートなどで多数派に対してあえて批判や反論をする人、またその役割のことです。

アドボケイト(英語: Advocate; アドヴォケイト、アドボケート等々)とは、語源の「アドボカタス」から派生した言葉で、「擁護・代弁」「支持・表明」「唱道」などを意味し、イギリスなど英米法(コモン・ロー)諸国においては、法律の分野における「弁護士」を指すようです。

その起源は、はるか昔のローマ・カトリック教会での聖者を選択する過程に遡ります。
「悪魔の代弁者」は、カトリックの教会に雇われた「列聖調査審問検事」を指し、検事が聖徒の候補者を聖者としてふさわしいかどうか敢えて反論し調査・審問したころから、「あえて異を唱える」「わざと反対意見を述べる」という意味になったとのことです。
THE FREE DICTIONARY BY FARLEX

会議で議論をする際には、みんなの意見に大賛成するのではなく、悪魔の弁護人になってみることにより、批判的に、
「ちょっと待てよ、その意見は違うのではないか」と考えることは、大いに会議の価値を高めます。
そして、大切なのは、ただの難癖ではなく、きちんと反証されることが重要です。
「ダメなものはダメ」と、ただ反対するのではなく、「違うのではないか? なぜなら~だから」ときちんと根拠を述べ、
議論をより価値あるものにしなければ、意味がありません。

人間は、合理的に判断している、結論を出している、という状況でも、「確証バイアス」の罠に陥っていない、とは言えません。
実際には、自分の都合のいいように結論を出してしまうリスクをはらんでいます。

たどり着いた結論をさらに強固なものにするため、合理的な結論と思われているものに、
自分たちの都合のいいバイアスがかけられ、間違った結論にいたっていないかを検証する、ことは、非常に重要です。

どんなに合理性を求めても人間には「感情」があります。相反する「情緒」による「非合理性」が、
人の判断に存在することを忘れないでいたいと思います。

イスラエルは1948~67年の3度の中東戦争で圧勝してきました。当時、アラブ連合軍は何度もイスラエルを包囲しますが、これに対し、70年代前半のイスラエルは人口330万人前後の小さな国でしたから、総動員体制をとると、経済が停滞してしまうのです。ですから、本当に攻めてくるかどうかを見極めることは経済政策上、極めて重要だったわけです。

73年の第4次中東戦争では、全情報機関の中で、モサドだけが攻めてくると判断しました。しかし、その情報を役立てなかった。からくも戦争に勝利しましたが、当初はアラブ連合軍の奇襲により、イスラエル軍は大損害を被りました。

その結果、首相も国防省のトップも辞めて、悪魔の弁護人システムを導入しました。すべての人たちが正しいと決めた方向性に対して、4~5人のリタイアした情報機関のプロフェッショナルたちが軍事情報のデータを読み解き、反対のことを書く。その2つの答申書を首相に渡して、首相自身に状況判断させるというシステムです。

- 客観的データで意思決定する社長の末路 主観的決断できぬ組織は流される PRESIDENT 2018年6月18日号
佐藤 優 作家・元外務省主任分析官 菊澤 研宗 慶應義塾大学教授

脳科学者の茂木健一郎氏の<ハードトーク・知と愛 s1e15『悪魔の代理人』>

タイトルとURLをコピーしました